2024年08月27日号
政府が閣議決定した経済財政運営指針「骨太方針」と成長戦略「新しい資本主義実行計画」で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度に黒字化する目標を堅持したものの、2026年度以降の具体的な黒字化目標は見送った。骨太方針では2030年度までの財政健全化計画を提示したが、2026年度以降については「取り組みの成果を後戻りさせない」との表現にとどまり、プライマリーバランスの黒字化目標年次には触れなかった。今後の財政運営の厳しさを象徴している。
財務省は2025年度一般会計予算の概算要求で国債の元本返済と利払い費に充てる国債費として、28兆9116億円を計上する方針であることが分かった。過去最大の国債費となった背景には、膨らみ続ける国債への償還が大きくなったことに加え、日銀の政策変更から長期金利を2025年度は1.9%から2.1%に引き上げたことが挙げられている。次年度は利払い費負担が増加したことにより、政策経費が縮小せざるを得ない状況にある。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月23日の講演で「調整の時が来た。方向性は明確だ」と述べ、次回開催予定の9月会合で利下げする可能性を示唆した。この発言を受け、外国為替市場では一時、1ドル=144円台後半まで円買いドル売りの円高が進んだ。FRBが9月に利下げすることになれば4年半ぶりとなり、米国の金融政策の転換点となり、世界経済に影響を与えるものとみられている。利下げ幅については0.25%か0.5%になるか見方が分かれている。
交通遺児育英会の調査で、交通事故で保護者が死亡したり、重度障害で就学が困難になった学生の15.8%が家族の世話を日常的に行うヤングケアラーであることが分かった。「世話をする家族がいる」と答えた内訳では、高校生が16.7%、大学生・短大生が15.9%で、世話の対象は「父親」が36.2%で最も多く、「母親」が29.3%で続いた。その頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」と答えた人は全体の36.2%を占めた。同会では「自治体と連携し支援していきたい」としている。
総務省の発表によると、7月の全国消費者物価指数でコメ類が前年同月比17.2%上昇した。上昇率は前年の冷夏で生育不良で不作だった2004年以来20年ぶりとなる。昨夏の猛暑による高温障害で市場に出回るコメ量が減少したことに加え、インバウンドによる外食需要が高まったことが背景にあり、スーパーなどの小売店で品薄となっている。農水省では2024年産米は順調に生育が進み、「新米は9月まで年間出荷量の4割程度が出回り、品薄は順次、解消していく」としている。
損害保険料算出機構は自動車保険料を算定する目安となる参考純率を平均5.7%引き上げる方針を決めた。これを受け、損保各社は2026年以降の保険料に反映する見通しで、自動車保険料の引き上げは3年連続となる。引き上げの背景には、物価高による修理費の高騰に加えて、新型コロナウイルス禍で減った交通量が回復したことにより事故が増加したことが影響している。具体的な改定率は車種や補償内容により異なる。
政府観光局の発表によると、7月に日本を訪れた外国人客は推計で329万2500人となり、月間最多を更新するとともに、300万人超えは5か月連続となったことが明らかになった。また、1月からの累計訪日外国人客は2107万人となり、過去最速で2千万人を達した。円安に加え、各国での夏休みなど長期休暇シーズンに入ったことも訪日客の増加要因として挙げられている。主な国・地域別では中国が前年同月比約2.5倍の中国が初めて首位となった。
経済産業省のまとめによると、2023年のキャッシュレス決済の総額は126兆7千億円で、消費全体に占める割合も39.3%だったことが明らかになった。政府は2025年までに4割を達成する目標をほぼ達成したことになる。キャッシュレス決済は、現金コストの削減や人手不足対策、インバウンド(訪日客)増加が続いており、さらに拡大する見通しにあるが、世界の主要国と比較すると依然として低位にある。キャッシュレス決済は新型コロナウイルス流行前の2019年は26.8%だった。
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