2024年07月02日号
6月26日に外国為替市場で、一時、1ドル=160円60銭台となり、バブル経済期が始まった1986年12月以来約38年ぶりの円安ドル高の水準となった。背景には米連邦準備制度理事会(FRB)での早期に利下げするとの観測が後退し、高金利で運用に有利なドルを買って円を売る動きが広がった。円安によってエネルギーや原材料の輸入価格が押し上げられ、8月以降、値上げラッシュが想定され、物価上昇から個人消費が冷え込む懸念が広がっている。
日銀の1~3月期資金循環統計によると、3月末時点で個人が保有する金融資産残高は2199兆円だった。前年同月比7.1%増となり、5四半期連続で過去最高を更新している。個人金融資産の内訳をみると、株式等が33.7%増の313兆円、投資信託が31.5%増の119兆円となり、1月に少額投資非課税制度(NISA)が始まったことで、投資熱が高まっている。また、現金や預金は1.1%増の1118兆円、保険が1.0%増の382兆円だった。
スイスにある国際経営開発研究所(IMD)は2024年版「世界競争力ランキング」で、日本の競争力は前年から順位を3つ下げて、世界38位となったと発表した。3年連続で順位を下げ、過去最低を更新した背景には、企業の効率性が低下したことが挙げられている。世界競争力ランキングは主要67カ国・地域が対象で、「経済実績」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4分野で評価している。世界首位には前年から順位を3つ上げたシンガポールで、スイス、デンマークが続いた。
総務省は5月の消費者物価指数(2020年=100)は107.5となり、前年同月比2.5%上昇したと発表した。前月の2.2%から3ヵ月ぶりに拡大した背景には、電気代の値上げが影響したことが挙げられている。事実、電気代の伸び率は14.7%で、2023年2月から政府の補助金で電気・ガス代で抑制してきたことでマイナスが続いていたが、一転した格好だ。政府は8月から3カ月間補助する方針を示している。
2023年度の一般会計税収は70兆1千億円となり、4年連続で過去最高を更新することが明らかになった。背景には、企業業績が好調なことから、所得税や法人税の税収が伸びていることが挙げられている。政府は2023年度補正予算の段階で税収は69兆6110億円と見積もっているが、所得税収・法人税収は順調に推移するとともに、消費税収も歴史的な物価高を反映して増えている。政府は見積を超える部分について国債償還や防衛強化費に充てることを検討する。
公立学校共済組合の2023年度調査によると、医師による面接が必要な「高ストレス」の教職員が11.7%に上ることが分かった。2016年度から労働安全衛生法に基づき「ストレスチェック」が実施されているが、以来年々「高ストレス」の教職員は増え続け、毎年度、過去最高を更新してきている。最多のストレス要因は、報告書作成などの「事務的な業務量」で、「対処困難な児童生徒への対応」、学校の業務を分担する「校務分掌」が続いた。
厚生労働省の発表によると、2023年度の国民年金保険料納付率は前年度から1.6ポイント上昇の77.6%だったことが分かった。12年連続での上昇となるが、一方では納付を全額免除または猶予されている人は596万人で、依然、高水準にある。納付率が上昇している背景には、口座振替やクレジットカード払いに加え、スマートフォンの決済アプリ利用など多彩な支払方法が普及していることが挙げられている。都道府県別の納付率の最高は新潟(86.7%)で、最低は沖縄(71.1%)だった。
貧困問題に取り組む認定NPO法人キッズドアが夏休みを巡ってのアンケート調査をしたところ、小中学生のいる困窮世帯の6割が子どもの夏休みは「なくて良い」「今より短い方が良い」と考えていることが分かった。理由を尋ねたところ(複数回答)、「生活費がかかる」(78%)が最も多く、「子どもの昼食を準備する手間や時間がかかる」(76%)、「特別な体験をさせる経済的余裕がない」(76%)が続いた。同法人の渡辺理事長は「十分な食事がとれず、健康状態が悪化している子どももいる。政府には困窮世帯への現金給付や体験格差を埋める支援をお願いしたい」と訴えている。
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