2023年11月21日号
内閣府は今年7-9月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0.5%マイナスとなり、年率換算で2.1%の減少になったと発表した。2022年10―12月期以来、3四半期ぶりのマイナス成長となった。物価高による家計の節約志向からGDPの5割以上を占める個人消費が落ち込んだことが背景にある。内訳をみると、個人消費は前期比0.04%減、設備投資は0.6%減、住宅投資と公共投資はいずれもマイナスとなっている。
帝国データバンクの調べによると、2023年10月の人手不足倒産件数は29件となり、10月時点での年間累計では206件になっていることが明らかになった。10月時点で人手不足による倒産は206件となり、2014年以降で初めて200件を上回り、過去最多を記録することになる。人手不足倒産の内訳では、業歴別にみると約4割に当たる84件が「30年以上」で、従業員別では約75%が「10人未満」だった。業歴が長く、小規模事業に人手不足ダメージが大きいことを浮き彫りにしている。
11月13日の東京外国為替市場の円相場は下落し、一時1ドル=151円80銭となった。今年最安値だった10月31日の1ドル=151円74銭を下回るとともに、昨年の最安値となった151円94銭に近づき、これを下回ることになれば、1990年以来、約33年ぶりの円安ドル高水準となる。背景には、日銀が金融緩和政策を続ける一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げるといった日米の金利政策の方向性の違いから、円売りドル買いが進んでいることが挙げられている。
京都大の西浦教授らのチームの発表によると、新型コロナウイルスワクチンの接種により国内の2021年2~11月の感染者と死者をいずれも90%以上減らせたとの推計結果が明らかになった。この期間の実際の感染者は約470万人、死者は約1万人だったが、ワクチン接種がなければ感染者数は約6330万人、死者数は約36万人に達していた恐れがあるとしている。また、推計では接種のペースが14日早ければ感染者と死者を半分程度に抑え込むことができたとするとともに、14日遅ければ感染者は2倍以上、死者は約1.5倍になっていたとしている。
SMBC日興証券が東京証券取引所の最上位「プライム市場」に上場する2024年3月期の純利益合計額が前期比約11%増の約46兆円に達する見通しにあることが分かった。過去最高の純利益額となる見通しで、背景には円安基調で輸出関連企業の業績の伸びがけん引していることが挙げられている。事実、2023年9月期中間決算でも22兆円超の過去最高益を記録しており、業績予想を上方修正する企業が相次いでいる。
厚生労働省と文部科学省の共同調査によると、10月1日時点での来春に卒業を予定する大学生の就職内定率は前年同期比0.7ポイント上昇の74.8%だったことが明らかになった。新型コロナの影響で内定率が下がった2020年以降で3年連続の上昇となっている。厚労省は「今年は新型コロナによる影響がほぼ無くなったため、人手不足が深刻な企業の求人数が増加したことから、内定率の向上につながった」とみている。
帝国データバンクが国内企業を対象に2024年に注目キーワードを尋ねたところ、1位は前年に続き「ロシア・ウクライナ情勢」(73.2%)となり、「物価(インフレ)」(64.7%)、「人手不足・人材確保」(63.6%)が続いた。とりわけ、「人手不足・人材確保」は前年10位から3位に急浮上するとともに、「2024年問題」も31位から7位に急浮上するなど、人材難に苦しむ企業の不安の高まりを浮き彫りにしている。また、4位に「中東情勢」、10位に「チャイナリスク」が入り、ロシア・ウクライナ情勢とともに緊迫する海外情勢に関心を抱く向きが多い。
内閣府が行なった「生活の満足度と質に関する調査」によると、子どもの年齢が上がるにつれて、家計と資産の満足度が低下していることが明らかになった。女性は子どもが大きくなるほど満足度は下がる傾向がみられ、未就学児を抱える場合の満足度は10点満点で4.79なのに対し、高校生を育てている場合は4.16まで下落していた。調査結果について「子どもの成長に伴い増加する子育て費用が家計と資産を圧迫することで、満足度の低下要因になる」と分析している。
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