2023年11月07日号
政府は11月2日の臨時閣議で物価高の家計負担を緩和する所得税と住民税の減税、非課税世帯の給付を柱とした経済対策を決定した。総額では17兆円前半と見込んでいる。「デフレからの完全脱却」を目指すとしており、企業の賃上げ促進や投資促進策も盛り込まれている。財源対策として、一般会計に13兆1千億円を計上し、財源の一部に2023年度予備費から2兆5千億円を取り崩し、住民税非課税世帯の低所得世帯に給付するのに必要な1兆1千億円は補正予算案で手当てするとしている。
国税庁の発表によると、2022年度の法人の申告所得総額は前年度比7.0%増の85兆106億円となったことが明らかになった。過去最高を更新するとともに、80兆円を初めて超えた。業種別の申告所得額で前年からの伸びが最も大きかったのは料理・旅館・飲食業で前年度比27.3%増の8499億円だった。コロナ禍による行動制限が緩和されたことが追い風となっている。申告法人税額は7.1%増の14兆9099億円。黒字申告の割合は0.5ポイント増えて36.2%だった。
11月1日の東京債券市場で、長期金利の代表的指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時0.970%まで急上昇した。前日の10月31日に行われた日銀の金融政策決定会合で1.0%を超える長期金利の上昇を一定程度容認する方針を決定したことで、債券を売る動きが加速したことから金利が上昇した。日銀は7月会合で長期金利操作の運用を柔軟化したばかりで、今回の会合で長期金利の変動幅を事実上の上限を現在の1%から一定程度超えることを容認したことで2度連続で修正したことになる。
厚生労働省は2022年に企業で働く人が取得した年次有給休暇の平均日数は10.9日だったと発表した。また、付与された年休の日数のうち、実際に取得した割合の平均取得率は過去最高の62.1%だった。政府が掲げる2025年度までに70%との目標には届いていない。取得率は企業規模別にみると、1千人以上が65.6%だったのに対し、30~99人では57.1%だった。業種別では、郵便局などの複合サービス業が最も高い74.8%で、宿泊・飲食サービス業が49.1%で最も低くなっている。
中国国家外貨管理局の7~9月期国際収支で、外資企業による直接投資が118億ドル(約1兆7600億円)のマイナスになったことが明らかになった。統計を公表している1998年以降での25年間で初のマイナス。初のマイナスとなった背景には、半導体を巡る米国の輸出規制や7月の改正反スパイ法の施行などから外資企業の投資意欲が減退したことが挙げられている。中国に進出している企業で組織する中国日本商会のアンケートでも「今年の投資はしない」など消極的な回答が約半数を占めていた。
「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議で、2027年末までに直管蛍光灯の製造・輸出入禁止することで合意した。「水銀に関する水俣条約」は水俣病の原因となった水銀を包括的に規制することを協議する国際会議。既に決定している2025年末での電球形蛍光灯の製造・輸出入禁止と併せ、今回の合意で全ての一般照明用蛍光灯の製造を終えることになる。合意に至った背景には、LED照明(発光ダイオード)の世界的な普及が挙げられている。
農林水産省は2023年産のコメの1等米比率は全国平均が59.6%だったと発表した。同じ条件で調査を開始した2004年以降で過去最低となった。1等米比率は20022年産米が78.5%、2021年産米が83.1%となっている。1等米比率が大きく落ち込んだ背景には、猛暑の影響によりコメに高温障害が発生したことが挙げられている。買取価格が高い1等米比率が減ることで、農家収入が激減する一方で、肥料代やトラクター燃料の高騰などで農家経済への打撃が案じられる。
東京商工リサーチが企業を対象に忘・新年会の予定を尋ねたところ、「実施する」は54.4%だった。コロナ禍前との比較でみると、「コロナ禍前も実施しており、今回も実施する」は36.2%で、「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」が18.2%となっている。逆に、「コロナ禍前は実施しておらず、今回も実施しない」は23.6%、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」は21.8%となっており、実施しない企業は45.4%となっている。
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