2023年07月11日号
国際原子力機関(IAEA)は東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に関して、「放出計画は国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を発表した。この報告書を経て、政府が「夏ごろ」としていた放出開始の具体的な時期の検討に入ることになる。また、処理水の海洋放出計画を巡り、原子力規制委員会は東電が放出設備の使用前検査に「合格」したことを示す終了証を交付する決定をした。地元業関係者をはじめ海洋放出には反対が根強く、理解が進展するかどうかが今後の焦点となる。
国税庁が発表した2023年分の路線価(1月1日時点)は全国の平均変動率は前年比1.5%のプラスとなり、2年連続で上昇となった。都道府県別にみると、2023年分で上昇したのは25都道府県で、下落は20県だった。また、都道府県の県庁所在地の最高路線価では上昇が前年の15都市から29都市に大幅に増加して、インバウンド(訪日客)需要の大きい商業地の回復が鮮明となっている。全国の最高価格は38年連続で東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂の1平方メートル当たり4272万円だった。
日銀は6月の企業短期経済観測調査で、大企業製造業の業況判断指数(DI)が前回調査の3月時点から4ポイント上昇のプラス5となったと発表した。1年9ヵ月ぶり(7四半期)に改善した。背景には、半導体不足が緩和したことで自動車の精算が回復したことに加え、原材料価格の上昇が一服したことが挙げられている。一方、大企業非製造業のDIは3ポイント上昇のプラス23となり、依然好況を維持している。3か月後の先行きについては、大企業製造業は4ポイント上昇のプラス9を見込み、大企業非製造業は3ポイント下落のプラス20を見込んでいる。
厚生労働省が発表した2022年国民生活基礎調査結果によると、児童(18歳未満の未婚者)がいる世帯数は991万7千だったことが分かった。1千万世帯を下回るのは初めてで、全世帯に占める割合も過去最低を更新する18.3%だった。高齢者世帯は1693万1千で、全世帯に占める割合は31.2%だった。また、単独世帯も1785万2千に増えている。さらに、同居家族らによる介護では介護を受ける人と世話をする人の世帯がともに65歳以上の「老々介護」が63.5%で過去最高を更新した。
連合が2023年春闘での傘下労働組合の賃上げ要求に対する企業側回答の最終集計によると、平均賃上げ率は3.58%だった。29年ぶりの3%台となり、月額では平均1万560円の上昇となった。ただ、総務省が発表した5月の全国消費者物価指数は前年同月比3.2%の上昇で、今回の賃上げが家計の安定につながるか不透明感が残る。また、連合の集計によると、中小企業での賃上げ率は3.23%だったが、原材料や光熱費の高騰で苦しい経営を強いられた向きでは賃金を据え置いた会社も少なくない。
米アップルの時価総額が6月30日の終値で3兆ドル(約430兆円)となった。終値で3兆ドル突破は世界の上場企業で初めてとなる。日本企業の最高となるトヨタ自動車(約37兆6千億円)の約11倍となる。アイフォーンを中心に、アプリからコンテンツ配信まで行う「アップル経済圏」の拡大により、さらに成長が続くものとみられている。米ウェドブッシュ証券は「時価総額は2025年までに3兆5千億ドル、強気にみれば4兆ドルになる」とみている。
東京証券取引所など全国の4証取の発表によると、2022年度の上場会社の個人株主が延べ人数で6982万人になった。前年度比521万人の増で、9年連続で過去最高を更新した。日本株の上昇から株取引を始める個人が増えたことが背景にある。東証担当者は「少額投資非課税制度(NISA)の活用が定着してきた」とみている。個人の人数は延べ人数で発表しており、個人が1人で10銘柄を保有する場合、個人株主は10人と数えている。
東京商工リサーチの調査によると、2023年上半期(1~6月)の飲食業倒産は424件となり、上半期としては過去30年間で最多となったことが分かった。同社によると、「コロナ禍で休業・時短協力金や各種支援金などの手厚い支援に支えられたものの、その後は売り上げが戻らず、電気・ガス料金の値上げや物価高、人件費上昇で苦境が鮮明になってきた」としている。資本金別では個人企業を含む「1千万円未満」が最多の364件で、小・零細企業が目立っている。
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