2023年05月23日号
内閣府は2023年1~3月期の国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前期比0.4%増となり、年率換算で1.6%増となったと発表した。3四半期ぶりのプラス成長となった背景には新型コロナウイルス感染が落ち着きを見せ、旅行などの個人消費が回復したことに加え、設備投資の増加が寄与している。2020年7~9月期以来の高い伸びで、金額は過去最高の570兆円となった。新型コロナ感染症法上の位置づけが「5類」に移行したことで、さらに経済活動が活発化されていく見通しにある。
政府観光局は4月の訪日客は194万9100人に上ったとの推計を発表した。新型コロナウイルスにより客数が激減した2020年2月以降で最高となった今年3月の訪日客(181万7500人)をさらに上回り、最多を更新した。また、観光庁は1~3月の日本人による国内旅行消費額が前年同期比1.8倍となる4兆2331億円になったと発表した。昨年10月から始まった全国旅行支援策が支出額を押し上げたとみられる。コロナ後の訪日客数や国内旅行消費額もかつての日常を取り戻す途上にある。
財務省が発表した4月の貿易統計で、貿易収支は4324億円の赤字だった。赤字は21か月連続となったが、赤字額は前年同月比49.4%減と半減している。原油価格が前年同月比16.7%下落したことから輸入額が前年を下回ったことが背景にある。輸入額は2.3%減の8兆7208億円、輸出額は2.6%増の8兆2884億円となっている。原油価格は一服感があるものの、外国為替市場の円相場は前年同月比9円以上の円安水準となっており、為替市場での円の動向が今後の貿易収支を左右しかねない。
日銀は4月の国内企業物価指数(2020年平均=100)は前年同月比5.8%上の119.8だったと発表した。3月の伸び率の7.4%から1.6ポイント下がった背景には、政府による企業を対象とした電気・ガス料金の負担軽減策の効果が挙げられている。商品別の上昇率をみると、電力・都市ガス・水道が25.8%、鉱産物が23.4%、飲食料品が7.0%だった。企業物価上昇分を販売価格に転嫁する動きが続いており、一段と家計への負担増加は避けられない状況にある。
経団連の発表によると、2023年春闘の第1回集計結果で大手企業の定期昇給やベースアップを含む月給の賃上げ率は平均3.91%となったことが分かった。前年の第1回集計と比べ1.64ポイント上昇し、回答額は5680円増の1万3110円だった。引き上げ額が1万円を超えるのは1993年以来30年ぶりとなる。賃上げ率を業種別でみると、造船が6.06%で最も高かった。また、製造業の賃上げ率は3.88%、回答額は1万2714円、非製造業は4.02%、1万4634円だった。
厚生労働省は5月19日、新型コロナ感染症の位置づけが5類に移行後初めて公表した新型コロナウイルス感染症の患者数は1医療機関当たり2.63人だったと発表した。全国約5000の定点医療機関から報告された直近1週間(8~14日)患者数の集計を基に1医療機関当たりの患者数を示したもの。同省が参考値として示した前週(1~7日)の1医療機関当たりの患者数は1.80人となっており、流行状況について「緩やかな増加傾向が続いている」と分析している。
業界団体の集計によると、中国の2023年1~3月期の自動車輸出台数は前年同期比58.1%増の107万台となったことが分かった。日本の95万台を上回り、世界首位となった。107万台輸出の内訳をみると、電気自動車(EV)などの新エネルギー車が前年の2倍近い38万8千台を占めており、世界的な潮流を背景に大きく伸びている。中国の輸出先はロシアへの14万台が最多だったが、新エネルギー車に限ると、ベルギー、オーストラリア、タイへの輸出が多くなっている。
公益法人チャンス・フォー・チルドレンが住民税非課税や一人親、生活保護世帯で中高生の子どもがいる保護者を対象に、物価高による学習や教育支出を「減らした」「今後減らす可能性がある」と答えた人は86.7%に上ることが明らかになった。削減対象として挙げられたのは、学習塾など「学校外学習費」が81.4%で最も多く、参考書や問題集、辞書の購入、文化やスポーツが続いた。同法人では「教育への影響が長引けば、将来の収入で格差を生む恐れがある」と指摘している。
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