2022年12月20日号
国際通貨基金(IMF)の発表によると、2021年の世界の公的債務と民間債務の合計が国内総生産(GDP)の247%に上ることが明らかになった。新型コロナウイルス禍対策で各国政府が財政出動したことで、コロナ禍前の2019年(228%)時より増えているものの、2020年時点での257%からは減少に転じている。IMFは「経済見通しが悪化し続け、借金のための費用が増大すれば、債務を管理することは困難になる」と警戒感を強め、各国政府に歳出の伸びを抑制するよう提言している。
日銀は11月の国内企業物価指数(2020年平均=100)は前年同月比9.3%上昇の118.5だったと発表した。21か月連続で前年を上回り、比較可能な1980年以降、8か月連続で過去最高を更新した。背景には、エネルギー価格や原材料の輸入価格が高騰したことが挙げられている。企業物価指数は企業間で取引される商品の価格水準を表し、企業におけるコスト増を招き、商品などの製品価格への転嫁が一段と進めば、家計の負担増はさらに増す構図となっている。
日銀は2022年7~9月の資金循環統計で、国債の日銀保有高は9月末時点で536兆円となったと発表した。政府の国債発行残高(1066兆円)の50.26%を保有していることになり、初めて5割を突破したことになる。黒田総裁就任した2013年3月時点で保有割合は11.55%だったが、大規模な金融緩和政策により市中から国債の大量買いを進めてきたことが背景にある。国の借金である国債の半分以上を中央銀行である日銀が保有するという異常な構図となっている。
厚生労働省の発表によると、今年6月末時点での雇用者全体に占める労働組合加入者の割合は推定で16.5%だったことが分かった。前年比0.4ポイントの減少で、現行の集計方法となった1953年以降で最低を更新した。また、組合員数は前年より8万6千人減少し、999万2千人となり、初めて1千万人を割り込んだ。一方、パートタイムで働く組合員は前年比4万1千人増の140万4千人となり、パートタイムの統計を開始した1990年以降で最多となった。
厚生労働省の調査で、27.9%の企業が定年引上げ等で70歳まで働ける環境を整備していることが分かった。同省が従業員21人以上の約23万企業を対象に調査したもので、70歳まで働ける環境を整備している企業は前年より2.3ポイント増加していた。再雇用などの継続雇用制度を採用している企業が最多の21.8%で、定年の廃止が3.9%、定年の引き上げが2.1%だった。同省では「人手不足が深刻な中小企業で導入が進んでいる」とみている。
米国国立がん研究所の研究グループの発表によると、紅茶を全く飲まない人に比べ、1日に2杯以上飲む人は死亡リスクが低いことが明らかになった。同グループが2006~10年に英国の大規模研究に参加した40~69歳の約50万人を約11年にわたって追跡調査したもので、死亡リスクは紅茶を全く飲まない人に比べ、1日当たり2~3杯の人で、13%、4~7杯の人で12%、10杯以上の人で11%低かったとの解析結果だった。
読売新聞社と米ギャラップ社による日米世論調査によると、今後日本が防衛力を強化することに関して「賛成」と答えたのは、日本で68%、米国で65%だった。日米で7割近い人が日本の防衛力強化・拡大に期待する意向が浮き彫りとなった。また、自国にとって軍事脅威となる国を尋ねたところ、「ロシア」を挙げたのは日本で82%、米国で79%となり、最多を占めた。さらに、日本では「北朝鮮」(82%)、「中国」(81%)が軍事脅威国として挙げられた。
日本漢字能力検定協会が発表した「今年の漢字」は「戦」だった。同協会が1995年以来毎年、世相を1字で表す漢字を全国から募集し、最多得票の漢字を選んできている。2022年の今年の漢字に選ばれた「戦」に挙げられた理由には、ロシアのウクライナ侵攻やサッカーワールドカップの熱戦が挙げられた他、物価高との戦いを生活の中で体験したという声も寄せられた。「戦」が選ばれたのは2001年以来2回目となる。揮毫した清水寺貫主は「来年こそは安らかな心で日々を送ることのできる年になって欲しい」と話した。
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