2022年10月11日号
国際通貨基金(IMF)は2023年の世界経済の成長率予測で再び下方修正することを表明した。ロシアによるウクライナ侵攻による資源エネルギーや食料の価格高騰に加え、気候変動により、世界の3分の1を占める国・地域で景気後退のリスクが高まっていることを指摘している。また、IMFは世界経済が4年後までにドイツ経済規模に相当する4兆ドル(約580兆円)分の国内総生産(GDP)を失うとの予測を明らかにし、「世界経済は荒波の中を進む船だ」として、危機感を伝えている。
大企業の社員が加入する健康保険組合の2021年度決算見込みは全国1388組合(加入者約2850万人)のうち、740組合が赤字だったことが明らかになった。全体の53.3%の組合が赤字となったことになり、前年度の33.0%から大幅に増えたことになる。組合全体での収支でも825億円の赤字となり、背景には、加入する会社員の賃金が伸びずに保険料収入が増えないことに加え、コロナ禍で続いた受診控えからの反動や65歳以上の高齢者医療への拠出が大幅に増えたことが挙げられている。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成するOPECは11月の原油生産ペースを10月比で日量200万バレル減産することを決定した。決定の背景には、原油価格が低迷しており、需要が見込めないものと判断から減産に舵を切ったことになる。大幅な減産決定により原油価格が上昇に向かえば、米欧のインフレが過熱し、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が過度なインフレを抑制するためにさらなる利上げに踏み切る可能性が高く、日本の円安が加速しかねない。
総務省の集計によると、資本金が1億円超の企業で都道府県が課す外形標準課税の対象となる企業は2020年度に1万9989社となり、ピーク時の2006年度の2万9618社から約1万社が減少したことが明らかになった。同省では、「相当数の企業が外形標準課税を逃れる目的で1億円以下に減資した可能性がある」とみている。2004年度に外形標準課税が導入され、資本金や従業員に支払う給与額に応じて課税する仕組みで、都道府県にとっては景気に左右されずに安定した税収確保できるメリットがある。
日銀の9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、代表的な指標である大企業製造業の最近の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回調査の6月時点から1ポイント下落のプラス8となり、3四半期連続での悪化となった。ロシアのウクライナ侵攻による危機が長引いていることや円安の進行により原材料の高騰で収益を悪化していることを浮き彫りにしている。大企業非製造業のDIは1ポイント上昇のプラス14で2期連続での改善となり、中小企業のDIは2ポイント上昇のゼロとなっている。
スイス科学アカデミーの発表によると、スイス国内の氷河の体積が冬場の降雪の少なさや今夏の猛暑の影響により、約3万立方キロメートルの氷が解け、前年比6.2%減の過去最大の消失率を記録したことが分かった。これまで最大だった2003年の3.8%減を大幅に上回るもので、地球温暖化による氷河の消失は深刻さを増している。氷河の対前年比消失率が2%以上になると「非常事態」とみなされるが、2001年以降で既に非常事態を10回記録している。
総務省はマイナンバーカードの取得申請が10月2日時点で約7011万件となり、7000万件を突破したことが明らかになった。7月時点で6千万件に達しており、約3か月という短期間に1千万件増えた背景には、取得者に最大で2万円分のマイナポイントを付与する施策が奏功したものとみられている。同省では年内までに申請数を8千万件台にするとの目標を掲げている。このため、マイナポイントの付与期限を当初の9月末から12月末までとし、「申請数の上積みを図りたい」としている。
国際経営開発研究所(IMD)の発表によると、2022年の世界デジタル競争力ランキングで、日本は63の主な国・地域で、前年より1つ引き下げの29位だった。ランキングは知識・技術・将来への備えなど54項目で採点され、順位付けされている。日本は、人材の国際経験、企業の機敏性、ビックデータの活用と分析などの4項目で世界最下位だった。首位はデンマークで、アジアでの首位はシンガポールが4位で、その他に韓国(8位)、香港(9位)がトップ10入りしている。
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