2022年09月06日号
9月2日の外国為替市場で一時1ドル=140円70銭台となり、バブル崩壊後の金融危機に陥った1998年8月以来約24年ぶりの円安ドル高水準となった。今年に入ってからドルに対し25円程度下落しており、円安進行は輸入に依存する日本にとって、原材料やエネルギー価格の上昇を招き、国民生活や企業経営への影響が深刻さを増しかねない。アメリカは国内のインフレ封じのため、積極的な利上げ継続を打ち出しており、さらなる円安ドル高が加速しかねない。
帝国データバンクの調査によると8月末時点で年内に値上げしたか値上げを予定している食品は2万56品目に及ぶことが分かった。株式を上場する主要飲食料品メーカー105社の動向をまとめたもの。原材料価格が高騰していることに加え、原油高や円安進行が値上げの背景にある。月別の値上げ予定をみると、9月は2424品目、10月は6532品目で、11月以降は458品目にとどまり、収束に向かうのではと伺えるが、同社では「断続的な値上げは年明け以降も続く可能性が残る」とみている。
みずほリサーチ&テクノロジースの試算によると、1ドル=140円の円安水準が続いた場合、今年度の家計負担は前年比7万8438円増えることが明らかになった。試算では、今月以降も1ドル=140円の円安水準が続き、政府の物価高対策による約2万円の軽減効果を加味しても平均で7万8千円ほど増加し、1ドル=130円台では8000円増えると試算している。同社では、「政府の物価高対策に加え、食品ロスの削減など、家計での工夫も負担軽減には重要だ」と指摘している。
財務省は4~6月期の法人企業統計で、全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は28兆3181億円だったことが明らかになった。前年同期比17.6%増となり、四半期では統計を開始した1954年以降で過去最大となった。経常利益が過去最大となった2018年4~6月期の26兆4011億円を大きく上回っている。世界経済の回復や円安により大企業を中心に幅広い業種で利益が伸びている。製造業が11.7%増の11兆2260億円、非製造業が21.9%増の17兆921億円となっている。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年度の年金や医療、介護などの社会保障の費用総額は132兆2211億円に上ったことが明らかになった。前年度から8兆2967億円の増加で、過去最高を更新した。高齢化の進展で費用が膨らみ続けていることに加え、新型コロナウイルス対策での雇用支援や病床確保などが影響したことが挙げられている。費用総額の内訳をみると、年金が全体の42.1%を占め最多で、医療(32.3%)、介護などの福祉その他(25.6%)が続いた。
厚生労働省の発表によると、雇用維持のために企業に支払った雇用調整助成金の支給決定額は2020年春以降で累計6兆55億円になったことが明らかになった。雇用調整助成金は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で失業者の急増を抑制する狙いから企業が支払う従業員の休業手当を部分的に補填する制度で、雇用保険財政を財源にしてきた。しかし、財源は既に枯渇しており、税金投入や積立金からの借入金で対応している。10月からは従業員1人当たりの支給上限を1万2千円に引き下げるとともに、雇用保険料を引き上げるとしている。
財務省が発表した法人企業統計によると、2021年度の企業の内部留保は前年度比6.6%増の516兆450億円に上り、初めて500兆円を超えたことが明らかになった。10年連続で過去最高を更新しており、この10年間の内部留保増加額は約8割に上っている。業種別に前年度比増加率をみると、製造業が10.9%増、非製造業が4.4%増となっている。規模別では、資本金10億円以上が5.9%増だったのに対し、1千万円未満では3.6%減だった。
厚生労働省は2022年上半期(1~6月)の出生数は38万4942人だったと発表した。前年同期比5.0%少なく、初めて40万人を割り込み、少子化が加速している実態を浮き彫りにしている。一方、2022年上半期での婚姻数は26万5593組で、前年同期比で微増となった。政府は少子化対策として、出産時に原則42万円支払われる出産一時金を2023年度に増額することを検討している。
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