2022年07月12日号
国際通貨基金(IMF)は4月の世界経済見通しで2022年の実質成長率を3.6%としていたが、見通しは大幅に悪化しているとして今月に公表する最新見通しで一段の引き下げる見通しを明らかにした。IMFでは見通しが悪化している要因として、世界的な物価高騰や米欧を中心とした金融引き締め、ロシアのウクライナ侵攻や中国の経済成長の減速を挙げている。今月発表する見通しでは3%を割り込む公算が強いとみられている。
厚生労働省は毎月勤労統計調査で実質賃金は前年同月比1.8%減となったと発表した。実質賃金は基本給と残業代などを合わせた現金給与総額から物価変動の影響を差し引いたもので、2か月連続でマイナスとなった。物価高が家計を直撃している実態にあることを浮き彫りにしている。実質賃金の落ち込みは前月の1.7%減を上回る実態にあり、コロナウイルス禍で経済が停滞した2020年7月(1.8%減)以来の大きさとなっている。
日銀は6月に長期国債を16兆2038億円購入したと発表した。国債を保有する金融機関から無制限に買い入れたもので、これまで最高だった2016年4月の11兆5771億円を大幅に上回る過去最高を更新した。6月末時点で日銀が保有する残高は過去最高を更新する528兆2267億円となった。日銀の国債買い入れは物価高への対応によるものだが、今後も増えるものとみられている。米欧が物価高対策から利上げを進めており、日本への金利上昇圧力がかかってきている。
総務省消防庁の発表によると、6月に熱中症で救急搬送された人は全国で1万5657人に上り、6月の1カ月としては過去最多だったことが明らかになった。これまでは2011年の6980人が最多だったが、2倍超にも急増した背景には6月下旬から全国的な猛暑に見舞われたことが挙げられている。事実、この期間に救急搬送された人の7割がこの期間に集中している。搬送された人のうち65歳以上が5割超を占め、発生場所の4割が自宅だった。
日銀が行った「生活意識に関するアンケート調査」で、89%の人が1年前と比べ物価が「上がった」と回答していることが明らかになった。前回調査の3月時点での81.2%から物価が上昇すると見込む向きが増加しており、2008年9月調査での94.6%に肉薄する高水準になっている。また、現在の暮らし向きが1年前と比較して「ゆとりがなくなってきた」との回答は43.2%となり、このうち78.9%の人が「物価が上がってきたから」と答えている。さらに、1年後の物価予想では「上がる」と答えた人は87.1%だった。
セブン&アイ・ホーディングス(HD)は2023年2月期の連結業績予想で売上高に相当する営業収益が10兆4130億円になるとの上方修正を発表した。セブン&アイは2021年に米コンビニ大手のスピードウェイを買収しており、北米での事業規模が拡大したことに加え、急速な円高の進行で海外からの営業収益の円換算額が膨らむ見通しにあり、当初予測の9兆6530億円を上方修正した。SMBC日興証券によると、国内小売業が10兆円を超える売上高を記録するのは初めてとなる。
国連開発計画(UNDP)の報告書によると、世界的な物価高により1日3.2ドル(約430円)未満で暮らす貧困層が推計で約7150万人増えたとしている。UNDPが世界159カ国の各世帯の所得から昨年10月から今年4月末までの物価値上げ分を差し引いて分析した。UNDPでは「貧困に苦しむ人々に食料を供給したり、途上国への債務を免除したりする国際的な支援があれば、この悪循環から抜け出せる」と支援を呼び掛けている。
日本自動車輸入組合は2022年上半期(1~6月)の外国車の販売台数で、登録車に占める外国車のシェアが9.1%になったと発表した。上半期として、2021年の9.0%に続き、2年連続で過去最高を更新したことになる。コロナ禍や部品調達難で外国車全体の販売台数が減る中で、上半期の販売台数で過去最高を更新した。メルセデス・ベンツは2万4372台で8年連続首位となり、ポルシェは前年同期比3.7%増の4068台、フェラーリは29.3%増の732台だった。
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