2022年06月14日号
世界銀行は最新の世界経済見通しで2022年の世界全体の実質成長率は2.9%となるとの予測を発表した。前回発表した1月時点での予測から1.2ポイント下方修正した。背景にはロシアのウクライナへの軍事侵攻による悪影響が世界全体に広がるとみている。日本については、2022年は当初予測から1.2ポイント下振れの1.7%と予測している。世銀は「世界的な不況が回避できても、物価高騰と景気停滞が同時に起こるスタグフレーションの苦しみが数年続く恐れがある」と警告を発している。
6月13日の外国為替市場で円相場は1ドル=135円台での値動きが続き、約20年4ケ月ぶりに安値水準を更新した。円安の値動きの背景には、日銀が金融緩和政策により金利を低い水準に抑え込んでいるのに対し、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に大幅な利上げ方針を掲げており、円を売ってドルを買う動きがある。日銀は金融緩和策を継続する方針を示しているのに対し、ヨーロッパなどもインフレ対策からマイナス金利政策を止める動きが出ており、円安の流れは変わらないとみられている。
経済協力開発機構(OECD)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め加盟38ヶ国での2022年のインフレ率は前年比8.5%となるとの見通しを発表した。昨年12月時点での予測では4.2%としていたが、約2倍に引き上げた背景には、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によりエネルギーや食糧価格が高騰していることが挙げられている。日本は昨年12月時点の0.8%から1.9%に上昇するとしている。世界的な物価上昇は企業や家計に打撃を与え、消費を大きく冷え込ませかねない。
6月1日、自衛隊基地周辺や国境離島など我が国の安全保障上重要な土地の利用を規制する「重要土地等調査法」が施行された。法案自体は昨年6月に成立しており、1日から施行されたのを受け、政府は年内にも600か所以上の対象区域を指定する見通しである。法律では自衛隊や在日米軍、海上保安庁の施設、さらに生活関連施設を重要施設と規定し、その周辺1キロの範囲や国境離島を首相が注視区域に指定できるとしている。また、施設の機能を阻害する行為に罰則を科すとしている。
世界銀行は世界の食糧価格が1%上昇するごとに、1千万人近くが1日1.9ドル(約248円)で生活する「極度の貧困」に陥るとの試算を発表した。ロシアのウクライナ侵攻の影響で食料価格は値上がりが続き、国連食糧農業機関(FAO)の発表によると5月の世界食料価格指数が前年同月比22.8%上昇したとしており、世銀では「最貧困層ほど家計に占める食費の割合が大きく、価格高騰の直撃を受ける」と危機拡大に警鐘を鳴らとともに、「日本でも低所得層を中心に打撃となるだろう」と指摘している。
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートの発表によると、6月1日時点で、2023年卒業予定の大学生の就職内定率は73.1%となることが明らかになった。就職活動は3月に会社説明会、6月から選考開始という現在のスケジュールになった2017年卒業対象以降で最も高くなっている。同社では、「新型コロナ禍で多くの企業が落ち込んだ需要が回復するものと見込むとともに、将来の人口減少による人手不足の想定から採用活動を加熱させている」とみている。
日銀は5月の企業物価指数(2020年=100)は112.8だったと発表した。前年同月比9.1%の上昇となり、前年水準を上回るのは15カ月連続となった。5月の企業物価指数の伸び率9.1%は、オイルショックの影響があった1980年12月の10.4%以来の数値で、歴史的な高水準にあることを示している。ロシアによるウクライナ侵攻が影響し、石油・石炭製品、木材製品などを中心にした値上がりしたことが背景にある。
閣議決定された「2022年版消費者白書」によると、交流サイト(SNS)をきっかけとした相談が2021年に全国の消費生活センターに寄せられた件数は過去最多の5万406件に上ることが明らかになった。SNSに絡む相談は20代の1万1264件に上り、とりわけ20~24歳が多く、副業や投資といった儲け話や美容に関する定期購入絡みが目立っている。同庁では「知識や経験不足、経済的余裕のなさなど若者一人一人のもろさに対応した注意喚起や消費者教育が必要だ」としている。
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