2022年05月31日号
日銀の発表によると、今年3月期決算での国債保有残高は前期比1.1%減の526兆1736億円となったことが明らかになった。減少に転じたのは約13年ぶりで、黒田総裁就任後では初めてとなる。減少に転じた背景には、新型コロナウイルス対策の財政出動で購入した短期国債の償還が進んだことが挙げられている。黒田総裁は大規模な金融緩和政策を堅持するとの方針を示しており、国債購入に積極的に進めていくものとみられ、再び増加に転じるものとみられている。
農林水産省が発表した2021年漁業・養殖業生産統計によると、養殖を含む漁獲量は417万3千トンだったことが明らかになった。前年比1.4%の減少で、比較可能な1956年以降で最低を更新したことになる。近年は、ピーク時の1984年(1281万6千トン)の約3割の水準で推移してきている。背景には、地球温暖化の影響で産卵場所が餌の少ない沖合に移動していることに加え、外国漁船が増加してきており、サンマなどを中心に資源量の減少があるとされている。
SMBC日興証券のまとめによると、旧東証1部上場企業1450社の2022年3月期純利益は前期比74.0%増となり、過去最高となった新型コロナ禍で大きな落ち込みから一転して経済活動が活発になるとともに、円安で自動車などの輸出企業の業績が伸び、海外で稼いだ外貨建て利益もあり、大きく利益を押し上げるものとなった。今後については、ロシアのウクライナへの軍事侵攻の長期化懸念から不安材料も多く、不透明感がある。
理化学研究所や東京大学などの研究グループは、新型コロナウイルスの感染を9分以内に判定できる装置を開発したことを英科学誌「コミュニケーションズバイオロジー」に発表した。装置は、検体のサンプルを入れてから判定するまでを全自動で行うもので、これまでのPCR検査では最短でも1時間程度要していた。理化学研究所では「将来的には街中の診療所に呼吸器系疾患がありそうな患者が来院した際に、多様なウイルス感染症を迅速に診断できるようになる」としている。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が発表した2022年の世界各国の報道自由度ランキングによると、日本は4つ順位を下げ、71位だったことが明らかになった。対象は180カ国・地域でノルウェーが4年連続で1位となった。日本の報道についてRSFは「大企業の影響力が強まり、記者や編集部が都合の悪い情報を報じない〝自己検閲〟を行っている」と指摘している。ウクライナに軍事侵攻したロシアについては報道規制を強化したとして155位としている。
国連高騰弁務官事務所(UNHCR)の発表によると、紛争や迫害で自国外へ逃れた難民や難民申請者、さらに自国内で居住地を追われた国内避難民などの総数が初めて1億人を超えたことが明らかになった。世界各地で紛争が続いていることに加え、ロシアのウクライナへの軍事侵攻で避難が急増していることが背景にある。UNHCRは「ウクライナからの避難民を受け入れた国際社会の対応は非常に好意的なものだった」と称賛するとともに、「世界全ての危機に際して同様の対応が必要だ」と呼び掛けている。
損保会社が販売している「雇用慣行賠償責任保険」の契約件数が、東京海上日動火災保険などの大手損保4社での加入件数は4年前から倍増の約9万件に急増していることが分かった。同保険は、企業がパワハラやセクハラ行為があったとして従業員から訴訟を起こされた場合に、敗訴した場合に損害賠償や慰謝料、訴訟費用が補償される。今年4月から中小企業にもパワハラ対策が義務付けられており、ハラスメントの訴訟リスクに対する対策や対処が不十分な中小企業で、一段と保険ニーズが高まり、契約件数はさらに伸びるものとみられている。
国立環境研究所などの研究グループは、犬を飼育している高齢者は健康障害により介護が必要になったりするリスクが低かったと発表した。研究グループが介護を必要としない65歳以上の高齢者約1万1千人に犬や猫の飼育を尋ねた上で、健康障害の発症や死亡との関連を調べたもの。約3年半の追跡調査期間中に17.1%の高齢者に健康障害が発生し、犬を飼っている高齢者は飼っていない高齢者に比べ健康障害の発生リスクは約半分だった。定期的な犬の散歩などの運動習慣が健康リスクを減らしたとみられる。
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