2021年12月21日号
日銀は金融政策決定会合で新型コロナウイルス感染拡大による影響で資金繰りに悪化をきたした企業向け支援策を縮小することを決定した。背景には、資金調達環境が改善していることが挙げられ、大企業が発行する社債などを日銀が購入する額を来年4月以降からはコロナ禍前の水準に戻すとしている。ただ、依然として資金繰りで厳しい局面にある中小企業向けの支援は期限を来年3月末から9月末まで半年間延長するとしている。
情報処理推進機構(IPA)が中小企業の社員1千人を対象にした調査で、コンピュータウイルス感染や不正アクセスなどのサイバーセキュリティに関するトラブルや事故が起きた中小企業のうち59%が社外に公表していないことが分かった。トラブル内容を尋ねたところ(複数回答)、最多は金銭要求の「ランサムウエア」などの被害が41%で、取引先を装った偽メールによる「ウイルス感染」と、予期せぬシステム障害による「業務停止」がともに23.8%が続いた。
財務省は貿易統計速報で11月の貿易収支は9548億円の赤字だったと発表した。4か月連続で赤字となった背景には、原油高や円安の進行により、輸入額が大幅に伸びたことが挙げられている。輸入額は8兆3218億円で、これまで最大だった2014年1月の8兆470億円を超えている。輸出額は、鉄鋼や半導体製造装置などが伸び、前年同月比20.5%もの大幅な増加となったものの、輸入が超過したことから貿易収支は赤字となった。
世界気象機関(WMO)の発表によると、昨年6月20日にロシア極東サハ共和国のベルホヤンスクで観測された気温38度を北極圏の観測史上で最高気温を認定したことが明らかになった。また、WMOは昨年2月6日に南極半島のアルゼンチンのエスペランサ観測基地で観測された18.3度が南極大陸での過去最高気温だったと今年7月に認定しており、深刻な地球温暖化の進展していることを浮き彫りにしている。WMOでは、「気候変動への警鐘が鳴らされている」との懸念を示している。
厚生労働省の発表によると、新型コロナウイルス感染拡大で特例措置を設けている雇用調整助成金の支給決定額は12月10時点で、支給を開始した2020年春からの累計額は5兆462億円に上っていることが明らかになった。雇用調整助成金は企業が支払う休業手当を国が部分的に補填する制度で、雇用悪化を防ぐ対策として講じられてきている。しかし、財源は当初予算を使い切り、失業手当に充てる積立金を流用し、膨大な支給により保険財政は危機的な状況にある。
日銀の資金循環統計によると、今年9月末時点での家計の金融資産は前年同期比5.7%増の1999兆8千億円に上ることが分かった。5四半期連続で過去最高を更新し、2千兆円に迫っている。背景には、新型コロナウイルス対策で国民への給付金配布や株価上昇、さらには外出自粛で消費を控えたことから資産残高が増えていることが挙げられている。家計の金融資産の内訳では、現金・預金が1072兆円、保険などが539兆円、証券が335兆円、その他が54兆円となっている。
JR各社の発表によると、2022年3月のダイヤ改正で運行本数を大幅に減便することが明らかになった。JR東日本は東北新幹線など5新幹線で定期列車を25本減らすとともに、山手線などの首都圏の16路線で朝の通勤時間帯の運行本数を1時間当たり1本から4本減らすとしている。JR西日本も普通列車と快速列車の500本を廃止または運転区間を短縮する。1987年に分割民営化されて以来、最大規模の改正となる。改正の背景には、コロナ禍で移動自粛が長期間続いたことや在宅勤務の定着で乗客が大幅に減少したことが挙げられている。
日本漢字能力検定協会は今年の漢字に「金」が選ばれたと発表した。「今年の漢字」は一年の世相を表す漢字一文字を一般公募にて選出するもので、今年は東京五輪で日本人の「金メダル」ラッシュ、大リーグの大谷選手がMVPを獲得する「金字塔」を打ち立てたことや、給付金や新紙幣・新硬貨など「お金」にまつわる話題で持ち上がったことなどから「金」が選ばれた。今年の漢字で「金」が選ばれたのは、27回の中で4回目となる。
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