2021年03月30日号
財務省の見通しによると、今年3月末時点での国の長期債務残高は1010兆円に達し、初めて1000兆円を突破することが分かった。地方も3月末時点で190兆円もの長期債務残高の見通しにあり、国・地方を合わせた債務残高合計は1200兆円を超えることになる。新型コロナ感染対策による財政出動で新規国債も大量発行したこともあり、ここ10年で債務残高は約1.5倍に急増している。長期債務は将来世代の負担でもあり、巨額に上る債務残高を解消する財政健全化の道筋を描くことが急務である。
厚生労働省が発表した2020年の「高齢者の雇用状況調査」によると、定年制の廃止や継続雇用など制度の整備により70歳以上の人が働ける企業は前年から2.6ポイント増加の31.5%だった。中小企業では深刻な人手不足から働く意欲のある70歳以上の高齢者の雇用を進めている実態にある。今年の4月から、70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、中小企業でも制度整備が進むとみられている。
3月26日、参院本会議で今月末に期限切れとなる過疎法に代わる「新過疎法」が成立し、今後、10年間にわたり、指定対象となる820市町村へ政府支援が行うこととなった。新過疎法での支援の重点分野として、①移住促進や企業移転による雇用創出、②テレワークや遠隔医療・遠隔教育などのデジタル化推進、③交通手段や買い物・子育て環境確保などが挙げられている。東京一極集中是正と地方分散の加速を図り、国土の均衡ある発展を目指す。
米マイクロソフト社が日本を含む31カ国の3万1千人を対象にした調査によると、世界の労働者の41%が「年内に退職することを検討している」ことが分かった。日本でみると、38%の人が年内退職を検討していた。背景には、世界的な新型コロナウイルス感染拡大があり、対象者の73%が「今後も柔軟に遠隔勤務が選べる状況が続いて欲しい」と考えていた。遠隔勤務が可能となった場合、46%の人が「引っ越しを考えている」と答えている。同社では、「職場に破壊的な変化が起きていることが明らかになった」と指摘した。
4月1日から商品やサービスの値札やチラシに消費税込の価格を示す「総額表示」が義務化される。この義務化措置は、税抜き価格での表示を認める時限措置としての特例が3月末で期限が切れることでの対応となる。これにより、税込の総額表示が義務されるが、税込価格を明らかに表示する「110円(うち税10円)」「100円(税込110円)」といった税額や税抜き価格の併記も認められる。一部、小売業界などからは価格が高くなった印象を与えかねないとの危惧も残っている。
国土交通省の調査によると、信号機のない横断歩道に近いなどで交通事故の危険性が高いバス停が1万195カ所あることが分かった。同省が2019年末から全区の約40万カ所の全てのバス停を調べたもので、バスの停車時に車体の一部が横断歩道にかかるか、過去3年以内に人身事故が発生した危険度が最も高いAランクは1615カ所に上った。次いで危険度の高いBランクは5660カ所、Cランクは2920カ所だった。
共同通信社の全国電話世論調査によると、東京五輪・パラリンピックの今回の開催について尋ねたところ、再延期すべき(33.8%)、中止すべき(39.8%)と開催を見送る意見が73.6%に上ることが分かった。開催すべきだとの意見は、2月の調査時点から8.7ポイント増の23.2%だった。新型コロナ感染拡大を不安視する向きからの五輪開催に否定的な声が根強いことを浮き彫りにした。開催する場合、観客数を制限しての開催(53.9%)、無観客での開催(39.8%)を望む声が多かった。
欧州連合(EU)欧州委員会は新型コロナウイルスワクチンの輸出について、規制の強化を行うと発表した。輸出規制はワクチン接種率でEUに先行している国への出荷停止をする狙いがあるとともに、イギリス製薬大手のアストラゼネカからのイギリスでの自国への優先出荷により、EUへの供給減や遅延でEUの接種計画に遅れが生じており、契約通りにEUに供給を促す狙いが背景にある。EUは日本など33カ国向けの輸出を承認しているが、ワクチンを輸入に頼る国を中心に、安定供給や接種遅延の不安が増してきている。
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