社会・経済ニュースバックナンバー

2021年03月09日号

過去最大の新年度予算案が成立
3月2日、衆院本会議で2021年度予算案が可決され、成立した。一般会計総額は106兆6097億円に上り、9年連続で過去最大を更新することとなった。菅首相は予算成立を受けて、「最大の課題となっているコロナ感染症の収束に向け全力を挙げて取り組む」との決意を表明した。2021年度予算案はコロナ関連の19兆円の追加経済対策を盛り込み、1月に成立した第3次補正予算と一体で編成されている。社会保障費は高齢化の進展を背景に過去最大の35兆8421億円にまで膨らんだ。

五輪開催反対、日米欧で日本が最多
独米PR戦略大手のケクストが日米英仏独とスウェーデンの6カ国で、18歳以上の各1千人を対象に東京五輪の年内開催について尋ねた世論調査で、米国を除く5カ国で、「開催に反対する」との意見が「開催に賛成する」を上回ったことが分かった。とくに、日本は五輪開催への反対が6カ国の中では最も多かった。また、新型コロナワクチンの接種意向を尋ねたところ、「接種する」と答えた人は、イギリス(89%)が最多で、スウェーデン(76%)、ドイツ(73%)が続き、日本は4位(64%)だった。

「脱原発を志向」は76%、増加傾向に
日本世論調査会が全国の18歳以上の男女を対象にした世論調査で、「原発を将来的にゼロにすべき」「今すぐゼロにすべき」とする脱原発を志向する人は76%に上ることが分かった。脱原発志向の回答は、2014年に69%、2016年に62%、2018年に75%となっており、高い割合が続いてきている。また、福島第一原発事故で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法を尋ねたところ、「海や大気に放出する」は13%にとどまり、「十分な風評被害対策が示されるまで放出しない」が最多の39%だった。

生活保護申請、初めて増加に転じる
厚生労働省の集計によると、2020年の1年間での生活保護申請件数は22万3622件に上ったことが分かった。前年より1672件多く、比較可能な2013年以降で初めて増加に転じた。同省では、新型コロナウイルス感染拡大により雇用情勢の悪化が背景にあるとみている。事実、昨春に新型コロナの緊急事態宣言が発令され、4月の生活保護申請件数は前年同月比24.9%増という過去最大の伸び率を記録した。同省のホームページでは、「申請は国民の権利」と明記して、相談することを呼び掛けている。

1都3県、緊急事態宣言を延長
3月5日、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、1都3県に発令していた緊急事態宣言での期限を3月21日まで2週間の再延長をすることを決定した。変異株による感染拡大の恐れや病床のひっ迫を理由に掲げており、宣言解除には、ほとんど「ステージ2」レベルまでを目安として掲げている。野村総合研究所では、緊急事態の2週間の再延長によって、「2021年の実質国内総生産は1.1%押し下げられるとともに、個人消費については7千億円が下押しされる」と試算している。

DV相談件数、過去最多の8万件超
警察庁の集計によると、2020年に全国の警察へのドメスティックバイオレンス(DV)相談件数は8万2643件に上り、2001年にDV防止法が施行されて以来、最多を更新したことが明らかになった。DV相談では被害者は女性が76.4%を占め、年代別にみると、30代が最多の27.0%で、20代(23.4%)が続いた。同庁では、「新型コロナ感染拡大で在宅時間が増え、家庭内暴力が深刻化、潜在化している可能性がある」として、相談対応を強化するとしている。

分科会会長、コロナ終息に2~3年を要す
新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長は、参院予算委員会で新型コロナウイルス終息に関しての見通しについて、「季節性インフルエンザのように不安感、恐怖心がないとの認識に至るまでには、2~3年は要する」との認識を示した。また、今年12月までに全国民の6、7割の接種が一巡したとしても、依然としてクラスター(感染集団)や重症化は起こり得る」と述べ、年内の終息は見込めないとの見方を示した。

CO2排出量、過去最大の減少幅に
国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、2020年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は前年比20億トン減少し、減少率は前年比6%減となったことが明らかになった。第2次大戦以来、過去最大の減少幅が最大となった背景には、世界的な新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が停滞したことが挙げられている。しかし、CO2排出は昨年前半に減少したものの、経済回復に伴って増加に転じてきており、IEAでは「クリーエネルギーへの転換が不十分だ」と警告を発している。

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