2020年06月16日号
経済開発協力機構(OECD)が発表した2020年世界経済見通しで、新型コロナウイルス感染症の第2波に見舞われれば、実質経済成長率はマイナス7.6%になると予測した。第2波が回避された場合でも、マイナス6.0%になると予測しており、3月に発表した予測では2.4%としており、感染拡大で大幅に世界経済は落ち込むと見通している。OECDは「世界経済は、現在、1930年代の世界大恐慌以来の景気後退を経験している」として、今、歴史的な事態にあると指摘している。
全国社会福祉協議会のまとめによると、新型コロナウイルスの影響で休業や失業で収入が減少した世帯に生活資金を支援する特例貸付が3月25日開始から約2ヶ月で約38万8千件に上ったことが分かった。既に、リーマン・ショックや東日本大震災で貸し付けが増えた2009~11年度の3年間の実績を上回る勢いで、同協議会では「目先の資金にも困っている人が想像以上に多い」とみている。特例貸付は一時的な生活維持のために最大20万円を一括で貸す「緊急小口資金」と、さらに不足の場合に最大で月20万円を3カ月間支給する「総合支援資金」がある。
財務省は4月の国際収支速報で、経常収支の黒字額は前年同月比84.2%減の2627億円だったと発表した。4月の黒字額は比較可能な1985年以降で最低となった。新型コロナウイルス感染症拡大により、世界的な経済活動の縮小が背景にあり、経常収支のうち、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9665億円の赤字となっている。他方、海外投資で生じた利子や配当の動向を表わす第1次所得収支は1兆9835億円の黒字となっている。
労働政策研究・研修機構が20~64歳以下の民間企業の労働者を対象にした調査によると、新型コロナウイルス感染拡大により44.9%の人が雇用や収入に影響があったことが分かった。パート・アルバイトの非正規労働者では、約54%も影響があったとしており、深刻な実態が浮き彫りとなった。具体的な影響で多く挙げられたのは、「勤務日数や労働時間の減少」「収入の減少」「業務内容の変更」だった。年代別にみると、20代が52.8%で、60代では34.6%で、若い世代ほど影響を受けていた。
財務省と内閣府は、4~6月期の法人企業景気予測調査で、大企業の景況判断指数はマイナス47.6となったと発表した。リーマン・ショック影響後の2009年1~3月期のマイナス51.3に次いで過去2番目の低さとなっている。中堅企業全産業はマイナス54.1、中小企業全産業はマイナス61.1となり、統計を開始した2004年度以降で最低を記録した。新型コロナウイルス感染拡大によって経済活動が大幅に停滞したことにより、急速に景況感が悪化してきており、今後懸念される第2波発生によっては一段の景気悪化が懸念されている。
厚生労働省は4月の毎月勤労統計調査で、残業代など1人当たりの所定外給与は前年同月比12.2%減の1万7984円だったと発表した。比較可能な2013年1月以来の最大の落ち込みとなった。残業代の減少を業種別にみると、飲食サービス業が46.1%減の4113円、理美容など生活関連サービス業が43.9%減の5743円と、減少幅が大きくなっている。基本給や所定外給与は合せた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は0.6%減の27万5022円となった。
財務省が発表した4月の税収は前年同月比29.4%減となったことが分かった。背景には、新型コロナウイルス感染拡大への対策から確定申告の期限が延長されたことに加え、納税猶予措置が講じられるとともに、企業収益の悪化していることが挙げられている。2019年度税収は5月分まで計上されるが、前年度実績である60兆3563億円を割り込むことは不可避な実情にあり、一般会計税収の見込みの60兆1800億円に届かず、歳入欠陥に陥る可能性が極めて高くなっている。
厚生労働省と文部科学省は今春卒業の大学生の就職率が98.0%になったと発表した。前年比0.4ポイントの上昇で、過去最高となった2018年春に並んだことになる。文科省では「企業の採用意欲は引き続き高い」とみている。地域別にみると、中国・四国を除いて5地域で前年を上回っており、とくに、北海道・東北、近畿は過去最高を記録した。一方、新型コロナウイルス感染拡大により、今春卒業者の内定取り消しは107人に上っている。
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