2019年12月03日号
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、日本の消費税率について、高齢化で膨らみ続ける社会保障費を賄ううえで、2030年までに15%、2050年までには20%に引き上げる必要があるとの見解を示した。また、2025年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を達成するためにも、税収増の必要性を強調した。
厚生労働省は「介護給付費等実態統計」で、2018年度の介護保険給付や自己負担を含む介護費用は約10兆1536億円となり、初めて10兆円を突破したと発表した。介護保険が始まった2000年の翌年から調査が始まったが初回調査では約4兆3782億円だったが、17年間で2.3倍に膨らんだことになる。2025年に団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となるため、今後、膨らみ続ける介護費用をいかに抑制していくかが大きな課題となる。
国連環境計画(UNEP)がまとめた報告書で、世界的な温室効果ガス排出が今のペースで続けば、今世紀末の気温は産業革命前と比較して3.4~3.9度上昇し、「破壊的な影響が生じる」と警鐘を鳴らした。来年、本格始動するパリ協定では温暖化による深刻な被害を回避するためには産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。全排出量の約8割を占める20カ国・地域(G20)での対策強化が必要とされている。
日銀は今年9月末時点での総資産残高は569兆8026億円になったと発表した。前年同期比4.4%の増加で、12年連続で前年を上回り、過去最大を更新したことになる。総資産残高が増え続けている背景には、金融緩和策で国債や上場投資信託(ETF)を大量に買い入れていることが挙げられている。総資産額は名目国内総生産(GDP)の550兆円を上回るほどの額となっている。資産の主な内訳は、国債が約479兆円、ETFが約27兆円となっている。
厚生労働省が行った「2019年賃上げ引上げ実態調査」によると、2019年中に賃上げを実施または予定している企業は90.2%に達していることが分かった。賃上げは8年連続の増加となったが、基本給などの月額所定内賃金の平均引き上げ額は前年比83円減の5592円となっている。同省では「景気回復や人手不足の影響で賃上げ傾向が続き、引き上げ額も高い水準で推移している」とみている。
経済協力開発機構(OECD)がまとめた肥満に関する報告書によると、OECD加盟36カ国では約4人に1人が肥満であると発表した。肥満および肥満に関する糖尿病などの慢性疾患によって平均余命が2.7年短縮するとともに、肥満に関連する疾患の治療に総医療費の8.4%を費やすことになると分析している。また、加盟各国の国内総生産(GDP)は平均3.3%減少し、肥満の社会的コストの1人当たりの負担額は年間359ドルになると指摘したうえで、「肥満は医療面、社会面、経済面に大きな損失をもたらす」とした。
環境省の発表によると、2018年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で12億4400万トンだったことが分かった。前年度比3.6%の減少で、統計を開始した1990年度以降で最も少なかった。同省では、「暖冬や原発による発電の増加、省エネの浸透などが要因となった」と分析している。しかしながら、日本は2030年度の排出を2013年度比で26%削減する目標を掲げており、2018年度の排出は2013年度比で11.8%にとどまっており、目標の半分までに届いていない実情にある。
東芝の発表によると、1滴の血液から13種類のがんの有無を検出できる技術を開発したことが分かった。血液中に分泌される「マイクロRNA」と呼ばれる分子の種類や濃度を検査するもので、初期のがんでも99%の精度で検出できるとしている。東京医科大や国立がん研究センターとの共同研究に基づく成果で、2020年から実証実験を始め、数年以内の実用化を目指すとしている。検査も簡便なだけでなく、2時間以内に結果が判明できると即時性も強調している。
上へ