社会・経済ニュースバックナンバー

2019年11月26日号

月例経済報告で「世界経済の回復鈍化」
政府は11月の月例経済報告で、世界景気の判断について、米中貿易摩擦の長期化で主要国・地域の貿易や生産の不調が鮮明になってきているとして、「回復のテンポは鈍化している」と指摘した。国内景気については、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復しているとして、景気判断は据え置いた。また、経済協力開発機構(OECD)の経済見通しでも、「世界経済の成長が抑制される状況が続き、下振れリスクが強まっている」と指摘した。

66歳以上の雇用制度の企業は3割
厚生労働省の2019年高齢者雇用状況調査によると、66歳以上になっても働ける制度を設けている企業は前年より3.2ポイント増の30.8%だったことが分かった。70歳以上が働ける企業も3.1ポイント増の28.9%になっていた。背景に、深刻な人手不足で、高齢者の就労環境の整備を急ぐ企業の姿勢がある。調査は、従業員31人以上の企業を対象にしたもので、60~64歳の就労者は約215万人、65~69歳が約114万人、70歳以上が約57万人で、いずれもが過去最高となっている。

経済対策で児童・生徒1人にPCを1台
政府の経済対策で、学校の情報通信技術(ICT)化に基づき、全国の小学5年生から中学3年生の児童・生徒が1人に1台のパソコン(PC)が使用できる環境を整備する案が明らかになった。これらに要する予算は4千億円規模となる見通しである。文部科学省によると、国公立の小中学校でのPC普及状況は平均で5.4人に1台にとどまっている。PC設置に加え、経済対策では、無線LANなどの環境整備とともに、学習ソフトウェアの導入や支援する専門家の活用も盛り込まれている。

地銀の不良債権処理費用が倍増
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が東京証券取引所などに上場する地方銀行77社の2019年9月中間決算を集計したところ、新たに不良債権処理費用として計上した金額が合計で1058億円に上った。前年同期に比べて2倍以上に膨らんでおり、融資先の地元中小企業の経営悪化や倒産が影響したもので、地銀の多くが純利益を減らす要因となっている構造が浮き彫りとなっている。日銀の低金利政策や地域経済の疲弊に加え、不良債権処理費用もかさみ、地銀は一段と厳しい経営の実情にある。

世帯資産、3年ぶりに減少の1139万円
金融広報中央委員会が発表した「2019年家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上世帯が保有する金融資産の平均額は1139万円だったことが分かった。前年から35万円減少となり、3年ぶりに前年より減少した。減少した理由の最多に「収入減」が挙げられた。資産の内訳では、預貯金が2年連続で減少の487万円、保険は3年ぶりの減少で384万円、有価証券が横ばいの224万円となっている。

幼児教育・保育の無償化財源が不足に
10月の消費税増税による増収分の一部を少子化対策の一環としてスタートした幼児教育・保育の無償化制度での2019年度分財源が約1千億円程度不足する見通しにあることが明らかになった。不足見通しの背景には、中高所得者層の利用が想定を上回ったことや保育所の利用割合が高まったことなどが挙げられている。日本総合研究所の池本主任研究員は「国の財政に余裕がない状況で、さらに借金をして中高所得者層を支援することに意義が見いだせない」と指摘している。

厚労省、パワハラの6類型を例示
厚生労働省の労働政策委員会分科会はパワハラ防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法の施行に向け、パワハラの定義やパワハラの類型、防止策の具体的な内容を盛り込んだ指針をまとめた。指針では、パワハラの定義では、優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって就業環境を害するものと定義し、6類型として、①身体的攻撃、②精神的攻撃、③同僚が集団で無視するような人間関係、④遂行不可能な仕事を強制する過度な要求、⑤仕事を与えない過少な要求、⑥私的なことに干渉する個の侵害を掲げた。

定年後まで貯めたい額は2900万円
日本生命が契約者約1万人を対象にした調査によると、「定年後のセカンドライフまでに貯めておきたい金額」を尋ねたところ、回答者全世代の平均額は2888万だったことが分かった。それがどの程度達成できたかを尋ねたところ、「80~100%」と答えた人は平均で15.7%、50代で16.6%、60代で37.1%だった。また、セカンドライフを過ごすにあたって「転居したいか」の尋ねで、25.7%が「はい」と答え、転居したい場所を尋ねると、1位は北海道で、東京都、沖縄県が続いた。

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