2019年07月09日号
内閣府が発表した5月の景気動向指数は前月比1.1ポイント上昇の103.2となり、これに基づく基調判断を3月と4月に示した「悪化」から1段階引き上げた「下げ止まり」とした。数か月先の景気を映し出す先行指数は1.7ポイント下降の95.2だった。これまでの景気判断の推移で、1月に「下方へ局面変化」とし、3月に「悪化」と約6年ぶりに下方修正してきている。一方の政府は「景気は緩やかに回復している」との公式見解は変えてはいない。
厚生労働省の2018年国民生活基礎調査によると、高齢者世帯のうち、51.1%が総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%で、老後所得を年金のみに依存している実態が明らかになった。高齢者世帯に生活状況を聞くと、55.1%が「苦しい」と答えている。高齢者世帯の所得の内訳は多い順に、「公的年金・恩給」が61.1%で、働いて得る「稼働所得」が25.4%、家賃収入や預貯金の利子・配当などの「財産所得」が8.0%となっていた。
国税庁が公表した2019年分の路線価が対前年の変動率が1.3%のプラスとなり、4年連続で上昇していることが明らかになった。路線価は、相続税や贈与税の算定基準となり、宅地の1平方メートル当たりの評価額。都道府県別にみると、19道府県が上昇し、27県が下落しており、二極化傾向が続いている。背景には、インバウンドの増加などで大都市圏や観光地での上昇があるとみられている。上昇トップは、沖縄の8.3%で、五輪開催を控えた東京の4.9%、再開発が進む宮城の4.4%が続いた。
企業の合併・買収(M&A)の助言を手掛けるレコフが公表データを集計したところ、ベンチャー企業への2018年度の投資額は3457億円に上ることが分かった。2012年度の投資額238億円から14倍強にまで膨らむとともに、件数でみても2012年度の54件から1034件へと20倍近くにまで増えている。金融機関が運用益を求めて資金を出し、投資会社による新ファンド設立が相次ぎ、投資が拡大していることが背景にある。
米商務省が発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)確定値は年率換算で前期比3.1%の増加となり、4~6月期の予測では1.3%増となり、6月時点で過去最長の121ヵ月になる可能性が高まってきた。これまでの最長記録はITに支えられた1991年3月からの120ヵ月で、これを上回る可能性が高まった。この景気拡大局面の今後については、米中貿易摩擦の長期化懸念や大型減税効果の薄らぎで、先行き不透明感がある。
国際労働機関(ILO)が発表した報告書によると、世界の労働所得総額の48.9%を所得の高い上位10%の人だけで得ていることが分かった。上位10%は1人当たり月額平均で7475ドル(約80万6千円)を稼いでいた。下位50%の人は労働所得総額の6.4%しか受け取っておらず、下位の10%の人は1人当たり月額平均で22ドル(約2376円)だった。ILOは「世界的に労働者間の所得格差が顕在化している」とした上で、「大多数は低賃金に耐えている」と指摘している。
経済産業省のまとめによると、10月からの消費税率10%への引き上げ時に導入される軽減税率制度に対応するレジ導入に際して費用負担を軽減するために補助制度の申請は30万件の想定に対して、6月末時点で11万2千件にとどまり、想定の37%にあることがわかった。日本商工会議所が4月に実施した調査でも、制度の適用を「申し込む」と答えた割合(34.1%)とほぼ同水準で、他方、「申し込まない」(34.2%)と答えていている事業者もあり、対応への二極化がみられた。
民間団体「働き方改革コンソーシアム」が働く30~50代の男女を対象にした調査で、企業に義務付ける高齢者雇用の年齢上限年齢は現行の「65歳のままでよい」とする意見は最多の41.4%だった。次いで、政府が検討している「70歳まで」が25.5%、「67~68歳まで」の14.3%が続いた。また、公的年金の受給を始めたい年齢では、「65歳」が最多の57.0%で、「60~62歳」が24.8%で続き、受給繰り下げの選択肢を70歳超に広げる方向で検討している政府だが、これを希望する人は0.9%にとどまった。
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