2019年02月05日号
1月の月例経済報告で経済再生担当相は「2012年12月から続く景気拡大期間が74ヵ月に達し、戦後最長になった」と表明した。これまで最長は2002年2月~2008年2月までの「いざなみ景気」の73ヵ月を抜いたことになるが、実際に最長となったかどうかの判断は約1年後に開催される有識者会議で正式認定されることになる。この戦後最長される期間の実質国内総生産成長率は年率1.2%にとどまり、いざなぎ景気(11.5%)、いざなみ景気(1.6%)を下回っている。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2018年10~12月期の運用実績が14兆8039億円の赤字となったと発表した。GPIFは厚生年金や国民年金積立金を市場に投資して運用しているが、世界的な株安が響き、国内外の株価が大幅に下落したことにより、運用実績が赤字に陥ったもの。市場での運用を開始した2001年以降で過去最大の赤字額となった。運用資産額は昨年12月末時点で150兆6630億円があり、世界的にも巨額な資金を保有している。
内閣府が経済財政諮問会議に提出した中長期の経済財政試算によると、黒字化達成の目標期限としている2025年度に基礎的財政収支(PB)は1.1兆円の赤字になる見通しであることが分かった。試算では、名目成長率3%以上の高い経済成長と2019年度の消費税増税も織り込んでおり、財政健全化への道筋は不透明である。米中貿易摩擦などの先行き経済や景気の腰折れなどから新たな経済対策を講ずることになれば、一段と財政収支の改善は遠のきかねない。
厚生労働省の発表によると、2017年度末時点で全国に敷設されている主要な水道管のうち、震度6強程度の地震に耐えられる「耐震適合率」は39.3%にとどまることが分かった。政府の国土強靭化計画では2022年度までに適合率を50%以上にするとしており、同省では「ペースを1.5倍以上に加速させて目標を達成したい」としている。都道府県別にみると、耐震適合率が最も高かったのは神奈川の71.3%で、逆に最も低いのは鹿児島の22.4%で、最大で約50ポイントもの開きがあった。
総務省の2018年の人口移動報告によると、東京圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)は転入者が転出者を上回る「転入超過」が23年連続で続いていることが明らかになった。東京圏への一極集中が続く一方で、全市町村の72.1%(1240市町村)では「転出超過」となり、一極集中が拡大している状況にある。政府は2020年に東京圏の転入超過を解消するとの目標を掲げてきているが、困難な実情にある。超過数でみると、東京都が最も多い7万9844人で、埼玉、神奈川、千葉が続いた。
国連児童基金(ユニセフ)は紛争や自然災害で食料や水などの援助が必要な子どもは世界59カ国・地域で推計4100万人に上ると発表するとともに、各国に対し、約39億ドル(約4300億円)の緊急拠出を要請した。援助内容をみると、1030万人にはしかの予防接種、420万人の栄養失調で苦しむ子どもには食料・医療支援が必要だとしている。支援を必要とする子どもの国ではイエメンが最多の約650万人、シリア(約550万人)、コンゴ(約400万人)が続いた。
厚生労働省は2018年の有効求人倍率が年平均で1.61倍となったと発表した。1973年以来、45年ぶりも高水準となった。また新規求人倍率も2.39倍となり、調査開始の1963年以来で最も高かった。他方、総務省が発表した2018年平均の完全失業率は2.4%となり、1992年以来26年ぶりの低さとなった。有効求人倍率が高い水準にあり、完全失業率が低い水準にあることは、明らかに人手不足感を強まっていることを鮮明にしている。
人材会社エン・ジャパンの調査によると、企業の89%が人手不足の部門を抱えていることが分かった。人手不足にある職種は、営業職が最多の35%で、IT系技術職(18%)、企画職(16%)、電気・機械系技術職(14%)、運輸・物流関係職(12%)が続いた。企業での人手不足の要因を尋ねたところ(複数回答)、「退職による欠員」(57%)、「中途採用で人員確保ができなかった」(51%)、「既存業務の拡大」(36%)、「業績好調による業務量増加」(30%)などとなっている。
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