社会・経済ニュースバックナンバー

2017年09月19日号

70歳からの年金受給も可能にと提言
内閣府の有識者検討会は、公的年金の受給開始年齢を70歳より後にできるような仕組みとする提言をまとめた。現行では原則65歳が受給開始年齢となっているが、繰り下げて70歳以降からの受給も可能とする制度の検討を行ってはどうかとの考えを提言に盛り込んだ。提言をもとに、政府は年内にまとめる高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定案をまとめることにしているが、増え続ける高齢者の生活に影響するだけに、導入の是非についての論議が高まることは必至と言えそうだ。

東京地裁、契約社員の待遇差を認める
東京地裁は日本郵便の契約社員が、正社員に支払われている各種手当が支払われないのは労働契約法違反だとして日本郵便に対し738万円を支払うよう求めていた訴訟で原告の主張を認め、92万円の支払いを命じる判決を下した。判決で、年末年始勤務手当と住居手当の損害賠償を認めるとともに、夏季冬季休暇、病気休暇が契約社員に与えられないことは不合理であり、労働契約法違反が成立すると判断した。判決は、臨時国会で焦点となる同一労働同一賃金の流れに拍車がかかりそうだ。

医療費、2016年度概算で14年ぶり減少
厚生労働省は2016年度に病気やケガで医療機関に支払われた概算の医療費は前年度比1762億円少ない41兆2865億円だったと発表した。2015年度に過去最高を更新して42兆3644億円と高止まりを続けてきたが、2016年度概算では14年ぶりに減少したことになる。医療費が減少した要因として、C型肝炎治療薬「ソバルディ」などの高額薬の値下げが挙げられている。しかし、同省では「高齢化や医療の高度化による医療費の増加傾向に変わりはない」としている。

中小の残業減・休日増に助成金を4倍に
厚生労働省は長時間労働の是正などに取り組む企業に対する職場意識改善助成金の現行制度を2018年度から時間外労働等改善助成金として大幅に拡大し、最大で現行の4倍の200万円を助成する方針を固めた。現在、残業時間の上限を月45時間・年360時間以下に設定した場合、最大で50万円が助成されるが、これを月80時間・年720時間だった企業が一気に達成した場合に最大100万円助成するというもの。加えて、週休2日制の導入で1カ月当たりの休日を4日増やすと最大100万円助成するとしている。

融資に回る預貸率、最低更新の66.9%
全国銀行協会の集計によると、預金のうち融資にどの程度廻っているかを示す「預貸率」は2016年度末時点で前年度末比1.1ポイント低下の66.9%となり、2000年度以降最低を更新したことが分かった。業態別に預貸率の状況を見ると、都市銀行は2.4ポイント低下の60.5%、地銀は1.0ポイント上昇の72.9%となっている。日銀の金融緩和で大量に供給している資金が融資に回らずに、預金に滞留する実態となっている。

100歳以上、過去最多の6万7824人
厚生労働省は住民基本台帳を基に9月1日時点での100歳以上の高齢者は6万7824人となり、過去最多になったと発表した。男性は8197人、女性は5万9627人で、女性が100歳以上の高齢者の9割近くを占めていた。人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は53.43人で、都道府県別にみると、島根(97.54人)が5年連続で最多となり、鳥取(92.11人)、高知(91.26人)が続き、最少は埼玉(32.09人)で、愛知(35.01人)、千葉(37.83人)の順だった。

子育て世帯年収、5年間で86万円増加
労働政策研究・研修機構が18歳未満の子供がいる全国の4千世帯を対象にした調査によると、子育て世帯の2016年の平均年収は683万2千円で、5年前と比べ86万円余り増えていることが分かった。年収300万円未満の世帯は全体で8.6%となり、調査開始以降で最も低かった。収入全体から貯蓄に回した割合(貯蓄率)は2年前の前回調査から4.4ポイント増の28.3%だった。正社員の母親の割合も前回から2.5ポイント上昇の24.6%だった。

高齢人口、過去最高の3514万人に
総務省は65歳以上の高齢人口は推計で3514万人になったと発表した。総人口の27.7%を占め、過去最高となった。年齢別にみると、75歳以上は1747万人(総人口比13.8%)、80歳以上は1074万人(同8.5%)となり、90歳以上は206万人(同1.6%)と初めて200万人を突破した。総人口に占める高齢者の割合は、1985年に初めて10%を超え、2005年には20%を超えている。

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