社会・経済ニュースバックナンバー

2016年12月20日号

GDP成長率、実質1.5%の強含み見通し
政府は2017年度の国内総生産(GDP)成長率見通しを、これまでの試算より上方修正し、実質で1.5%程度、名目で2.5%程度とし、次年度予算案のベースとする方針を固めた。上方修正した根拠として、企業業績が堅調に推移し、設備投資も増加、さらに海外経済の回復によって、成長していくものと見込んでいる。ただ、民間シンクタンクでは実質1.0%近辺、日銀は1.3%と予測しており、政府の強気な見通し姿勢がみられる。

小型家電リサイクル、1割どまり
環境省の調査によると、小型家電リサイクル制度に基づく2015年度に回収・再資源化された携帯電話やパソコンなどは使われなくなった小型家電全体の約1割にとどまったことが分かった。小型家電リサイクル制度は、市区町村が回収して国が認定するリサイクル業者などに引き渡すか、認定業者が直接回収する仕組みで、双方での回収量は6万6千トンとなり、使われなくなった小型家電は60万トンとなっていた。資源価格の下落や携帯電話などでの危機に残されたデータから個人情報漏洩危惧が回収の障害となっている。

正社員と非正規との格差是正の指針案
政府が作成した正社員と非正規労働者との「同一労働同一賃金」実現ための指針案によると、通勤手当、出張費、食事手当、慶弔休暇等について非正規を対象外とせず、正社員と同一の「支給」をしなければならないと明記していることが分かった。指針案では、「基本給・福利厚生・教育訓練等」のそれぞれの原則が記され、待遇差が問題とされる是否を例示した。来年の臨時国会に関連改正案を提出する見込みで、指針は法改正後に施行される。

最低賃金を下回る労働者比率が上昇
厚生労働省が全国47労働局を通じてまとめた調査によると、最低賃金を下回る給与で働く労働者の比率(未満率)が上昇していることが分かった。最も高かったのは大阪の5.5%(前年度3.9%)、次いで東京の5.3%(同1.4%)で、1.4倍から3.8倍に上昇していた。その他に未満率が高かったのは、岐阜(3.5%)、北海道(3.2%)、岩手(3.0%)などで、26都道府県で前年度より上昇している。背景には、14年連続での最低賃金の引き上げに企業が対応できていない実態がある。

農業分野での外国人労働者受け入れへ
政府は特区を活用し、母国の大学で農学部を卒業するなどの専門知識を持ち、しかも日本語による意思疎通が一定程度できる外国人労働者を農業分野で受け入れることを決定した。農業分野での深刻な高齢化や人手不足を解消する狙いがある。雇い主には日本人と同等以上の報酬を支払う義務を定め、適切な労働条件が確保されているかどうかを国などが定期的に雇用主を監査するとしている。来年の通常国会で特区法の改正を目指すとしている。

相続課税対象者が過去最高の8%に
国税庁の発表によると、2015年に亡くなった約129万人のうち、相続税の課税対象となる遺産を残した人は約10万6千人(前年比83.2%増)で、全体の8%を占めた。2015年1月以降、基礎控除枠が4割縮小されたことで対象となる人が増加したもので、現在の課税方式に改まった1958年以降で課税対象者は最も高い割合となった。1件当たりの平均でみると、遺産額は1億4126万円で相続税額は1758万円となっている。

段ボールの国内生産、過去最高の見通し
全国段ボール工業組合連合会は、1~10月生産実績に基づく2016年見通しが前年比139億5700平方メートルとなり、2017年は今年の実績をさらに1.0%増の141億平方メートルとなり、2007年に記録した139億6600平方メートルを超え、過去最高を更新する見通しにあることが分かった。飲料を含めた加工食品業界での需要が堅調で、通販・宅配・引越用が5%超の伸びを見せ、さらに優れたリサイクル性と低環境負荷であることの評価が評価され、流通業界全体での需要が増えてきている。

事故減少で自賠責保険料引き下げ
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)が来年4月から引き下げられる見通しにあることが分かった。安全技術の普及進展に伴い、交通事故件数が減り、保険金支払いも減少したことで保険収支が改善してきており、自賠責保険審議会にて値下げ幅の議論を経て、2017年4月契約分から引き下げられる。引き下げ幅は全車種平均で7%前後となる見通しにある。引き下げられれば、9年ぶりとなる。

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